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複数の遺言書が見つかった場合どれが有効になるのですか?

  • 文責:所長 弁護士 石井浩一
  • 最終更新日:2023年1月23日

1 遺言者が存命であれば遺言はいつでも撤回することができる

民法第1022条では、「遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる。」と規定されています。

遺言者には、生前の最後の意思の実現として遺言が認められています。

よって、いったん遺言書を作成したとしても、その後、亡くなるまでの事情の変化により遺言の内容を変更したいと思ったら、前の遺言について撤回することも認められなければならないのです。

2 複数の遺言書が存在する場合は後の遺言が有効になる

遺言書は遺言者の生前にはいつでも撤回できますが、民法は第1023条1項で「前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす。」と規定しています。

複数の遺言書が存在し、その内容が相互に矛盾しているような場合には、後の遺言、すなわち遺言者の死亡時により近い遺言書の方が、遺言者の死亡時点の意思により近いと言えるだろうということから、遺言者の死亡時の意思を実現するという遺言の目的を達成するためにこのように規定されているのです。

したがって、複数の遺言書が発見された場合、前の遺言の内容が後の遺言に抵触していれば、抵触している部分は、後の遺言が有効と扱われることになります。

3 複数の遺言の方式が異なる場合でも結論は変わらない

内容が抵触する場合に後の遺言が有効となるというのは、遺言書の方式が異なる場合、例えば、前の遺言書が公正証書遺言、後の遺言書が自筆証書遺言、といった場合でも異なりません。

中には、公正証書遺言と自筆証書遺言では、公正証書遺言の方が効力が強く、矛盾する内容が書かれている場合は公正証書遺言が優先すると思われている方もいらっしゃるようです。

しかし、公正証書遺言と自筆証書遺言では、どちらが優先するということはありませんのでご注意ください。

そもそも遺言は、なるべく死亡時に近い時点での遺言者の意思を尊重しようという趣旨からも、後の遺言の方が有効となります。

4 複数の遺言書が見つかった方はご相談を

このようにご説明すると、遺言が複数ある場合の効力の関係は、意外と単純なのではないかと思われるかもしれません。

しかし、一番重要なのは、前の遺言と後の遺言が、内容において「抵触する」と言えるのかどうか、その判断の基準です。

遺言書の内容が「抵触する」かどうかの判断基準は、法律には書いてありませんので、これまでの裁判例等から判断していくことになります。

したがって、複数の遺言書が発見された段階で、そもそもそれらの内容が抵触するのかどうかを判断するため、専門家にご相談されることをお勧めします。

そして、その判断は、専門家の中でも、実際に遺言の有効性についての裁判等にかかわる弁護士が適当でしょう。

遺言に関してお悩みの際は当事務所にご相談ください。

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